• 1
  • 2
  • 3
  • 4
  • 5
  • 6
  • 7
  • 8
  • 9
  • 10
  • 11
  • 12
  • 13
  • 14
  • 15
  • 16
  • 17
  • 18
  • 19
  • 20
  • 21
  • 22
  • 23
  • 24
  • 25
  • 26
  • 27
  • 28
  • 29
  • 30
  • 31

細部に宿るもの

今日は茶道の稽古。10時間程も稽古が続いたので、ちょっと筋肉痛の兆しがあります。

先週に引き続いての薄茶平点前修練。「目の前に在るもの」を、「見えるようにする」という辺りが主眼でありました。和敬清寂という言葉の本当の意味。平点前を極めて行くための方法。先週も書いた様な気がしますが、己の能力以上のものを手にしようと思えば、相応の苦労というか、苦心というか。一種の心構えを伴う気付きが必要な事が多いという事を改めて問い直す場面が多くありました。

茶碗では、僅か数ミリの差異が美醜の境界を分かつコトがあるものですが、そういった基準を、そのまま点前にも適用して。一般的な順序ではありませんが、要は外から言われずとも、己の目で己を伸ばせる様に。何事も最終的には自分が自分を引き上げるしかなく。現在の器のままに居ても、何も発展しないという事を想いながらに。まぁ・・・一般的に云えば僅か数ミリの違いを苦心したりするような、そういったものです。でも、ロクロ一つでもそうですが、その数ミリに本質の宿る場合が多い。「神は細部に宿る」という建築方面の名言が在りますが、ミース・ファン・デル・ローエという、装飾を削ぎ落とした建築を旨とした人の言葉。例えば棗一つでも、真塗ともなれば棗の形、僅か0.1㎜の曲線誤差が美の本質として躍り出てきます。その誤差が悪かったり、真塗の程度が悪いものに、「装飾」という蒔絵が施されるものだと聞き及びます。削ぎ落とす程に、細部の高位が求められます。平点前は正に「削ぎ落とされた点前」と言いますか。釉薬を用いない「信楽」などもこの世界です。意味があるとか、無いとか、そんな次元の話ではありません。


ありがたい事に。久しぶりに思いだしましたが、ロクロなどに於いて「技を盗む」という手法というか、眼の作法?という様なものがありまして、他人様はどうか解りませんが、茶道の修練も同じものを使って、真剣に取り組むべきものだなぁ、と思いつつ。目線を一切動かさないで・・・とまぁ、言葉で説明出来るものではありませんが、出来る方にはこれだけで解ると思います。解らない人には、解らない。言葉を抜きにして技術の授受を行う作法。これが意外に万能的な使い方が出来るということに、今更ながら気付いてみたり。ちょっと、かなり集中力を使うので馴れないといけませんが。本来的には正客の作法としても、それくらいの集中力で見るべきなのでしょう。 久しぶりに用いてみると、日頃から正客の作法として訓示されてきた作法そのものでありました。一種の職人的特殊技術でしょうか。稽古の巧拙。ありがたいことに、手本となる多くベテランの方々が居られます。

高名な作家さんを始めとして。師匠の名手は、必ず「己で己を鍛えられるようにする」という事を主眼とされます。他人の手が無くとも、自分の脚で登って行ける様に仕立て上げる。そのために、割合に基礎的なものでも、自分で切り開く力を付けさせるために放置するという様な事が行われます。「魚を与えるより、魚釣りの技術を伝授すべし」という孔子の手法。これによって弟子が師匠を越える可能性を遺す。伝統というものは受け継がれるだけでは退歩します。力量の継承というものは9割も継承出来れば上々でしょうか。しかしそれでも、二代目には8割、三代目には7割の力量へと下落してしまいます。この手のものが、伝統の形骸化といわれるようなものであるし、難しい点であります。形だけの継承では退歩の一途。伝統の継承というものが必ず、形の継承ではなく、人間の本質論へと還ってくる理由でしょうか。

眼の前に在ることと、見えることとは違う。
意味が無いと思うのは、性急に「魚」を求めるに似たり。

凡庸な視座では凡庸な範囲しか見えないわけで、
つまり「思案処」であります。

先を見て習得すれば、更に先が見える様に。
「道」そのものでしょうか。歩むほどに先が見えるように。


さて、頑張りましょうか。贋物から本物を目指すために。

コメント

コメントを投稿する

管理者にだけ表示を許可する

論者:吉村祐

吉村祐


〆真の茶陶を求め、忍びの里にて古伊賀を追う日々。1980年生。
陶工:吉村 祐 (ユウ)
窯場案内:伊賀丸柱から北へ10分、信楽から東へ20分程の山中。

記事内容の分類
過去の記事(月別)
09 | 2019/10 | 11
- - 1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30 31 - -
来訪者数(2006.5~)
LINK
リンク
メール送信はこちら
・来窯時などに御使用下さりませ

御芳名:
貴アドレス:
本文の件名:
本文:

不在時・繁忙期などは返信が遅くなる事もあります。悪しからずご了承下さい。もちろん、迷惑メールは駄目ですよ。