独学「禅のすすめ 道元のことば」より その5

「禅のすすめ 道元のことば」角田泰隆氏 より、適当な独り言。その5。

p25『典座教訓』道元
”禅の修行者たちの僧団が、自給自足の生活を行うようになってから、
古来、修行道場において最も重要とされた職が典座です。”
”昔から典座は道心堅固な、仏道を真剣に求める立派な人物が任じら
れてきた職”
”食料を買い求めたり、食事の支度をすることは、
修行のできた者こそ行うことが許される重要な仕事なのです。”
~ここまで~

成功者として世間の脚光を浴びたいと願うことは、難しくありませんよね。
反対に下働きをしたいと願うことは、ちょっとなかなか、それよりも難しい。
自信のない人でも、「私は下働きくらいでOKです」というような、消極選択。
積極的に願い出るというのは、何か「信念」や「思想」がないと行われない。

「信念」や「思想」を持って「下働きを願い出る人」は、
仏教でいう「欲望から解放された人」に見えます。

でもね・・・

例えば。茶道は「水屋仕事」という「下働き」があります。
『典座教訓』を読んで、「下働きこそ実は高位修行者なのだ!」
と思って、「我こそ」と願い出る。そういう場合があります。
また、無理に辛い仕事を引き受けます。慣れれば辛くないけどね。

はい。もちろん、かつての私のことです。

でもね・・・。

そう。これって、「高位修行者の位置へ行きたい」という、
結局は欲望の表出なんですよね。形だけ下働きをしながら、
心の中では「いや、自分は高位に居るのだ」と慰めている。

これって「修行のできてない者」の行為なんですよ。
自分で気付いたから救いがあるけど、体の好い笑い草。

陶芸でいう「無作為」の難題と同じだ。
「無作為の作為」:無作為を狙い澄まして作る偽物。「無作為風」。
「無作為」:天衣無縫と言われるような、自由な境地の製作。

これと同じ話だ。無作為が分かりにくければ、自然という言葉が近い。
無作為:自然界の青色や、山並みの景色。まったく自然。
無作為の作為:如何にも自然にありそうな青色。不自然さがある。

楽焼の五岳や、見込みの茶だまりなど。元々が失敗や手抜き、偶然から
産まれてきたものは、その時点では「無作為なもの」なのだけれど、
これが評価されたからといって「楽焼には五岳が必要」とか、「茶碗には茶
だまり」となると、無作為にみえるようにする「作為」になって、反転する。
更にいえば、これには「売れたい」「認められたい」という欲が根付いてくる。

形だけを追って「下働きをやるぞ!」と思っていても、
中身は全く、出世欲とか、名誉欲と変わらなかったりする。
「下働きを続けていれば、いつか出世できるだろう」みたいな、
結局は下心ありありの、典座とは180度真逆のことになる。

表面的な「形」を追うだけじゃ、こんなことになる。

仏教用語に無一物とか、無尽蔵などの言葉が多いのは、
欲望からの自由を目指しているからというのも納得される。

そうして、茶道の求める世界が仏道だとすれば、こうなるけれど。

こんな指導はちょっと見当たらないし、茶道の指導者は仏僧ではないし。
すると、職人的な、下働きからの出世みたいな、わかりやすい世界になる。
そうすると、出世競争や出る杭叩き、派閥ってのが、普通に出てくる。
加えての、「華やかな日本文化の旗手」として役割の期待があって。

これから、茶道も、茶道具も、今よりもっと、深い迷路に入っていくのかな。
現代評価では「進歩」であって、「迷路」ではないのかもしれないけれど。

「本当の茶道具」の位置づけも、同じ話。

「名脇役」を脱出して「和」も何も関係なく「主役」を競う「現代茶道具」。
日本文化、伝統工芸として華々しく世界に売り出すには、わかりやすい。
実際、今はこれが主流になっています。

伝統的な精神に則って、「主役を引き立てる名脇役」に徹して、自然の
ように、在ることを感じさせないような、「和」の精神の中に存在してきた
名品の古き、本来の伝統茶道具。

形は同じ茶道具です。用途も同じ。でも、中身は180度違う。

こういうの、全くマスコミだとか文化行政だとか、何も知らずにやってて。
わかりやすい、また声の大きな方へ、経済に良い方へ、流れていく。
だから、今後の流れがどうなるかは、自明なのです。文字通りの流れ。流行。

長い休養を経て。自分の未熟さと、現況の厳しさに立ち尽くしています。
論者:吉村祐

吉村祐


〆真の茶陶を求め、忍びの里にて古伊賀を追う日々。1980年生。
陶工:吉村 祐 (ユウ)
窯場案内:伊賀丸柱から北へ10分、信楽から東へ20分程の山中。

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