第十九回 臥翠窯 穴窯伊賀焼成

さて、無事に第十九回の焼成を終える事が出来ました。梅雨頃の焼成というものは比較的珍しいものではありますが、振り返って見ると毎年に焼いております。梅雨という事で大雨の中で焼成を行う事が多いものですが、今回は珍しく酷暑となりまして、完全な夏の窯という様相でありました。

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焙りはボチボチ。この頃の焼成では、作品の乾燥が不十分という事もあり、尚且つ窯の動きも相当に悪いもの。窯変という結果に出る事も多いわけですが、理由の1つは気候天候による技術的課題。その背景には焚き手の精神的労苦が多分にあるのではないだろうか、と感じます。窯詰めが少し遅れて、徹夜の窯詰めからそのまま、午後二時半に窯焚きを開始。これ1つ採っても、「晴天数日分の不足」による遅れです。

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焙りは窯の調子を確認して、適正な窯調整を行うためのコテ調べ。要所さえ外していなければ難しいものではありませんし、薪の投入回数も少ないものです。とはいえ、2日目に突入して朝焼けの頃には窯の温度も上昇しております。

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回数を重ねている事もあり、窯の昇温にも癖がついている様子。楽器などでも「癖がつく」と云いますが、窯も熱伝導という側面を見れば、毎回によく焼締まっていく場所と、縁が切れていたりして熱伝導の遅い所があったりする可能性があるわけで、全く科学的根拠に乏しい、というものではありません。興味はありませんけれど、楽器の様に「物理的に癖を左右する」という事も可能でしょう。

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窯の前はこんな感じの温度。2日目でコレ。少し離れた所で35℃くらいですが熱風が吹いてきます。梅雨といいながら、全く雨が降りません。どうにも・・・・暑い・・・・。

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窯焚きの前日までは雨続きでありましたから、薪の調子は微妙なものも多く。濡れ切って乾燥が必要なものも。元々が火力の低い薪で、窯の調子も良好とは言い難い中で、湿った薪というものは大きな苦戦材料以外の何物でもなく。まぁ、少しく長時間燃えてくれるので、ありがたいと見る事も出来るのですが。

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3日目は更に晴天。まぁ・・・景色は完全な「夏」であります。ちなみに焚き手ですが、基本的に家族のみ。一日の内の20時間は小生が焚いております。初日と最終日は自力。残りの4時間に関しては、2日目・3日目が嫁さん。4日目は親父が焚いてくれます。食事などは母親がやってくれて、巧いマッサージで体力を回復してくれて。しかしそれでも、これだけ暑いと、正直云って極限状態に近いです・・・

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そういった中での炎との格闘。元々が扱い辛い時期でありますから、いつもより沢山に取っ組み合いをやらないといけません。そういった中で、思わぬ窯変が出たりすることがあるというもの。同じ時期に決まった焼成方法で行っていくものとは、随分と性質が変わって来ます。手元の作品が手薄なので・・・。窯変ではチト困る。躍起になって炎と格闘・・・。


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そこへ、四日目も変わらぬ好天。ちょっとは雨が降ってくれてもいい。寒い中の窯焚きも辛いものですが、暑い中で、35℃の待機場所と50℃以上の窯前と、1300℃の炎を相手とするのは大変なものでありました。


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まぁ、ちょっと番外で窯焚き装備。道具を見れば窯の焚き方が多少分かります。前掛けが必要で、皮手袋に加えて軍手装備。濡らしたタオルが必要・・・・という事は、相当な「近接型」です。よくあるのが少し遠くから薪を投げ入れる「投擲型」。炎との距離が極めて近い手法を採ります。顔を炎が舐める事があるもの。一瞬で口元から何からが乾燥するため、長期間焚くには濡れタオルも必需品。炎から身を護るとなれば、もちろんに厚手のものを身に纏います。それを怠ると筋肉が焼けてきて耐久力が不足する事に相成ります。ちょっと焚くくらいならシャツ1枚で大丈夫ですが、長時間という次元が違う。 残っているタイマーは、「一人焚き」の必須道具。


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忙しい合間に牛の引き取りがあって、突如として「暴れ牛登場」という一幕も。 まぁ叔父さんの仕事なので時々見に行ったくらいですが、牛の鳴き声で牧場中の牛から猫までが反応し、電気柵を引き千切って救援に向かう牛が居たり。常に放牧・野生であるだけに、人の意のままにはならない野獣的な側面も。もちろん、基本的にはとても臆病な動物なのですよ。

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毎回、色んな事がありますが、5日目の朝を迎えて。最終日も晴天と云う、この時期には考えられない気候の中で、無事に第19回の伊賀焼成、5日間の窯焚きが終了です。様々な手助けありての事。深謝。




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ん・・・っと。少し御土産あり。今回も引出あり。窯を焚きました。

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窯出しが楽しみでもあり、怖いものでもあり。様々な試験結果も楽しみです。


以上、御高覧ありがとうございました。



第19回穴窯焼成。5日間。平成23年6月、21・22・23・24・25日。 
作家:吉村 祐
論者:吉村祐

吉村祐


〆真の茶陶を求め、忍びの里にて古伊賀を追う日々。1980年生。
陶工:吉村 祐 (ユウ)
窯場案内:伊賀丸柱から北へ10分、信楽から東へ20分程の山中。

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