陶芸の思想 -穴窯・臥翠窯-

自然釉の名工を目指し、独自の道を模索する者あり。築窯・修行・伊賀花入。その足跡を記す。

穴窯って何?
いつぞや、そんな質問を受けた事が。観た事がある人はそのあらましを知っているが、観た事の無い人も多い様子。信楽の陶芸の森に展示窯があるが、確かにそれ以外で目にする事は少ないかもしれない。陶芸作家の所に突撃するような人というのは極々限られている上に、穴窯作家ともなるとその工房は山の中と相場が決まっている。目にする機会は、近畿・及び東海、あと長野県など、田舎に近い陶芸教室が穴窯を所有しているものが第一。他は美術館などのもので、土岐・多治見や瀬戸、信楽の陶芸の森などがそれぞれ穴窯を持っており、毎年ボランティアを募って焼成を行っている。

観ると早いのだが、実際にどんなもんなのか?となると、更に判らない人が多くなる。このブログでも、”ちょっと小さい穴窯”という表現を使ったりしているのだが、よくよく考えれば標準的な大きさというものを想像する事が出来る人というのは、極々限られた人々になる。さりとて、説明を加えるのも煩雑。

とりあえず、簡単に穴窯の特徴をば。”安土・桃山時代以前の原始的な窯の形態”とか説明のつく事が多いが、正直ただの豆知識。”だから??”であるので、こういった説明は省く事としたい。重要なのは、他の窯とどう違うのか?という実際的な点だろう。

特徴:燃料が薪である。
ガス窯はプロパンガスやブタンガスを燃やして温度を上げる。灯油窯は灯油だし、石炭窯は石炭。電気窯は電熱線を熱して温度を上げる。名前に燃料を冠している。では、穴窯は穴?まぁ正解な訳だが、燃料は薪である。薪が燃料である窯は二つあり、登り窯と穴窯。よって燃料名称では二つを総称して”薪窯”と呼ぶ。
一般の方はご存知無いが、温度を上げる燃料は、焼き物の風合を決める、最も主要な要素の1つ。ガス火で焼くか、電熱で焼くか、炭火で焼くか、まぁそんな違いが焼き物にはある。一般に売られているものはガス燃料のもので、電気で焼いているところは電気である事を隠したがる傾向がある。逆に誇示したがるのが穴窯で、不必要なまでに誇張するのが陶芸教室の穴窯作品。違いを知っている人なら、穴窯である事は見れば判る。
燃料の過多(酸化・還元)で表情が一変する事を知っていれば、電気・ガス・薪の違いというものは理解出来る。電気は燃えるものが無い雰囲気、ガスは常にガスが出ている雰囲気、薪は投入・燃え尽きによって燃料の量が変動し続ける雰囲気。一般に電気<ガス<薪の順番に好いものが出来るという常識あり。ただし、焼成コストがガス=電気<<薪であり、必要労働力もガス=電気<<薪である事から、孤独に運営する窯としては格段に困難な窯である事も常識である。
穴窯は薪が燃えているすぐ先に作品が置かれているので、薪の灰が懸かり、熔けて自然釉の景色を作り出す。仕上がりが置かれた場所によってバラバラになるが長所であり、短所。登り窯では薪が燃えている場所が作品から隔離されているので灰が懸からない。よって同じものが多数必要な場合に使われる、釉薬物や量産用の薪窯である。

特筆すべき特徴は、上記の事で尽きる。登り窯と穴窯は互いに窯の形状による仕上がりの差。穴窯の窯に灯油バーナーを繋げれば灯油で焼成する事も出来る。窯の設計による差というものは燃料とは少し別の所にある。その意味では、ガス窯にも窯の形状変化による可能性というものが大いに残されているのだが、これを実行する作家は極めて稀。非常に面白いと思う。ガスという燃料に適した設計が難しいのだろうか。小生がやってみたいものの1つでもある。お金があれば、の話だが。

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  1. 2007/07/31(火) 20:19:19|
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築窯記録7/30 手配いろいろ

虹梅雨も明けて、ようやく天気の好い日々へ。やはり雨続きだと気分も陰鬱であるし、調子も奮わない。工房は高所にあるので、風通しも良く、日陰に入ると非常に涼しい環境である。いつの間にか8月に入ろうとしており、もうすぐ窯を築き始めて一ヶ月が経とうとしている。薪の事、土の事、いろいろな事が残っているが、2ヶ月後には初窯を迎える事が出来ようか。



山材木
窯も築かねばならないが、薪も重要。数ヶ月の乾燥が必要なので、逆算すればちょっと遅いくらいの手配である。小生の祖父が大工であった事は触れたが、紐一本で木を登って枝を伐採し、チェーンソーで木を切り倒す。山の手入れとはそういった仕事もある。邪魔な木を倒し、チェーンソーで切り分ける作業。これはなかなか大変なものである。又、切り分けた後、山から麓まで木を運ぶ作業が更に重労働。独りで穴窯をするとなって以降、大工もすれば左官もするし、穴掘りもすればレンガも積む。設計もするし、諸々の仕入れ交渉、土の吟味・試験。今度はキコリである。チェーンソーの刃の磨ぎ方を伝授してもらって、地下足袋履いて二日がかり。助っ人が居ても、ようやくで軽トラック一杯分だ。一回窯を焚こうと思うと、かなりの重労働で薪を得る事となる。薪屋も大変な作業だ。

窯0730最後に、窯の現況。煙道まで基礎が出来ているので、アーチの側壁を積む。作品を置くところと別に独立して基礎を固め、レンガを積む。どこまで積むかという所は実際のアーチの高さと相談しながら決めるのだが、アーチも楔に打ち込む物によって簡単に高さが変わってくる。しっかりと密に積むのであれば、慎重に決定しながら積んでいく事となる。アーチに入ってから、進行が遅れ気味。予定一ヶ月半の築窯だったが、このままで行けば少々遅れる事となろうか。

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  1. 2007/07/31(火) 09:09:14|
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