陶芸の思想 -穴窯・臥翠窯-

自然釉の名工を目指し、独自の道を模索する者あり。築窯・修行・伊賀花入。その足跡を記す。

閑話出題

otya.jpg まぁ、暑いので冷茶でも飲んで、ゆっくりいたしましょう。

何の話をするかいな、と思いつつ、時には陶芸と外れた話でもしましょうか。

そうそう、ありがちな、最近読んでいる本の話でも。臥翠窯の工房では陶芸とお茶関係の書籍で占められているのですが、家に帰った後の書棚は歴史関係の小説で埋められてます。学生の頃は色々と読んでいたものですが、ここ数年は買うだけで積まれている本も多く、この頃になってようやくに読める時間が出てきた次第。

今読んでいるのは『小説・太平洋戦争』。写真と違ってすいません・・・。山岡荘八(1907-1978)さんの著書です。全9巻の内、8巻の中頃を読んでいる辺り。随分と昔に買って積んでおいたもの。元々、海とか船が好きなのは何度か書いたかと。就職などは造船業に行きたかった人です。失われた世代の端くれという事もあって叶いませんでしたが。で、当然ながら軍艦関係も多少の興味ありて、模型造りなどをしていた頃もありました。戦艦・長門の造形辺りが気に入る所でしょうか。だから何?って、太平洋戦争は太平洋の戦争。短い、軍艦の時代ですという話。

と・・。話を元に。太平洋戦争。小生は戦後も戦後、1980年の生まれなもので、全く戦争の事など想像だに出来ないところです。戦争を潜ってきた方々はもはや少ない様で、勿論敗戦国なれば命を落とされた方々も多い事でしょう。墓掃除の季節ですが、一族の墓のある寺の境内行くと、小生の祖父の兄弟や曽祖父の兄弟の墓が、戦死者として称える様に一際大きい墓が建てられていたりして、系譜とは繋がっているものなのだなぁ、と感じます。戦争の是非はどうあれ、亡くなられた方ありてこそ、現代の日本が在り、平和があるのでしょう。過去に多くの戦死者を出したからこそ、今の平和が築かれたと感じるなら、何はともあれ感謝して手を合わせる所であります。

又、そう想えばこそ、靖国神社へも何度か行きました。どうにも、この辺りの問題では現実を直視しない人々の声も高い様ですが、軍隊というもの、皇国というものを毛嫌いする様な姿勢は如何にも自分勝手な話だと感じます。

『小説・太平洋戦争』。この小説は、小説というよりは従軍記者として戦中に在った、山岡荘八氏の戦争語り。戦争を潜り抜けて生き残った方々へ、戦中は国民の知る事の出来なかった、戦争全体の話を説明した本。当事者の生きている中での取材。9巻賭けて説明しても、尚全く以って説明の薄い感がある小説。その語りたい所は、太平洋戦争に於いて、日本の人々がどのような気持ちで以って居たのか、どのような気持ちだから特攻などという事になったのか、という、当時の世界を経験せねば到底窺い知ることの出来ない、特殊な思想というか、愛国の心。せめてそれだけは受け取って欲しいという、著者の想いが伝わってくる本。語り調子も他の歴史小説とは違うもの。

沖縄と云えば現在は完全なリゾートでしょうか。なかなか、その過去が持つ、太平洋戦争における最終決戦場であり、島を挙げて本土への防波堤として玉砕した島という特殊性を知る事は難しい。硫黄島という映画が注目された事があり、大和特攻の映画もありました。どちらも見ましたが、到底その奥に在る、山岡荘八の伝えたかったものは感じ取る事が出来なかった次第。

その、『小説・太平洋戦争』の行き着く所。その山場にある沖縄戦。一方的とは云え、米軍の死者とて数万人あり、この島で10万人を超える戦死者が出たのは確か。南京の様に戦死者水増し・負の増幅問題もある様ですが、その島の戦争中の持った性格は変わらない。戦争に付随した様々な問題。太平洋戦争の最中を生きた歴史小説作家が、渾身で取材し、必死に伝えるべく訴えているもの。教育の中では思想ありきで語られないもの。例えば先だって問題となった集団自決というものの性質など、これを知らずには全く何も理解出来ていないものであったのだなぁ、と、今更恥ずかしながら勉強させて頂いた。これでは、この小説と謳われた書籍と教科書。全く、どちらが小説なのか判らないくらいなもの。おそらくは、死者への畏敬のあまり、残虐な側面視点を書けなかった辺りで”小説”と付けたのだろう。書けるものなら書きたかったものかも知らん。それでも、過去の時代の出来事を、背景無視+現代視点で見る事ほど、歴史、そして戦死者に無理解なものは無い。増して思想戦、政治戦に利用するなどもってのほか。

終戦記念日も近い。沖縄も、リゾートとしてはさほど興味無く。でも、観光で無く、現代日本生誕への歴史の地として、1度見ておくべきだろうな、という思いを感じる。時に、行政は沖縄を特別優遇しているかの様に感じる事もあったが、それも当然の話なのだろう。 犠牲となってもらった過去があり、それだけの事を示したのだから。

皆様も、1度是非、読んでみて下さりませ。歴史小説では無く、1つの歴史参考書として。夏休みの課題図書として。

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  1. 2008/08/04(月) 22:53:06|
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大原祇園祭 大鳥神社

 さて、夏らしくなってきました。一昨日に、ちょっと甲賀の祭へ出掛けてきましたので、観光案内など。

場所は甲賀市の大鳥神社。以前紹介した事がありましたか。甲賀の森の中に佇む、朱塗りの楼門・回廊を持つ神社。毎年7月23・24日に祇園祭が行われ、23日夜は宵宮祭。「京の祇園は名高いばかり、大原祇園は勇ましい」と、自ら豪語する荒祭り。1415年以来続いている?のかな。祇園の名を冠している様に、京都は八坂神社を祖とする、素戔嗚尊(スサノオ)・牛頭天王という、簡潔には荒々しい側面を持つ神を祭る神社の祭礼。甲賀地域でも広く祭られていて、厄払いの神事として祇園祭は各地で行われている。いわゆるケンカ祭で荒々しい事をして、神様を喜ばせ、厄神を祓うという話?かな。祭りは太鼓祭⇒宵宮祭り⇒花奪い神事⇒神輿などいくつかあるのですが、その中の、宵宮の祭へ出掛けてきました。

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で、到着したのは19時半頃。祭は21時からと遅くに始まります。順次にお参りを済ませ、参道にある出店などで腹ごしらえという所。 境内にはまだ人は少ないですが、参道は既に人で一杯の状態。

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大原祇園祭。神社を中心とする、大原の地にある9の氏子集落による祭礼。神・櫟野・大原上田・大久保・大原中・鳥居野・相模・大原市場・高野という9の集落。9集落には同時に所謂甲賀53家の中の5家が含まれている。つまり、甲賀武士・忍者の大家である大原一族を中心とした部族の拠り所。元々が城であったという事もあり、神社の境内は広く、石垣もあれば内掘まで備えている。 小生も母方の家系が含まれているので、子供の頃に何度も見に来た覚えがあり、非常に懐かしい。

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やがて、祭礼が始まる。神社を抱える集落、鳥居野の子供が舞を奉納する。2時間も踊り続けるのは大層なものかと思う。近隣9集落から、神社へと集まってくる。子供の頃は何も判らずに見ていたものであるけれど、今になってみていると、懐かしく、色々となかなか面白い。

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祭の始まり。各集落から10人の代表男衆。それが灯籠を掲げ太鼓を打ち鳴らしながら、神社へ向かって進んでくる。遠いところで片道30分以上はある距離を、集落の長を先導に掛け声と太鼓調子で進んでくる。列の廻りには子供が走り回り、家族がタオルなどを持って一緒に歩いている。

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灯籠の到着を告げる花火。観客は灯籠と共に境内へと流れていく。

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やがて到着。10人×9集落、計90の灯籠が順次本殿へ。

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灯籠。透かし飾りがされていて、集落毎に多少の差が在るけれど、基本的には同じもの。

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境内に入った各郷10人の灯籠衆は、本殿の前で舞い、”ハーヨー ハーヨー ハーヨーヨー!”の掛け声と共に灯籠をぶつけ合う。これを2度、本殿の前で繰り返し、更に神輿の前で2度。次々と途切れなく9の集落が入ってきて、本殿前、神輿前の2箇所でぶつけ合いが繰り返され、歓声やヤジが挙がる。見ての通り郷の名前が書かれている中、各郷から皆々が集まっている中で行われるだけに応援もそれぞれ。 何せ荒々しいほどに五穀豊穣や家内安全の願いも届くのだから、跡形も無くロウソク1本だけとなるまでに破壊された灯篭も。

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途中、電灯を全て消し、獅子舞が雄叫びと共に灯篭を壊して廻るという演舞が行われ、再び各集落の灯籠が順次舞いを始め、最後のぶつけ合いを行う。この時点で11時近い。途切れなく繰り返される祭礼。灯籠も上部が折れたり破れたり。 灯が消えれば灯し、ぶつけ合う。

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そうして最後の荒れ祭事を舞った後、順次、灯籠は各郷へと帰っていく。

日付が変わる頃まで続く祭事。古来からの集落から集う人々。信仰心というものは、こうして高められ、結束をより強固なものにするのだなぁ、という所を感じる。 全国各地にある荒れ祭。荒々しい事を競うという事では、これに勝る神事も多く、大原祇園でも花奪い神事が最も勇壮な所。そんな、勇壮さを競うのも結構であるけれど、その意味というもの、意義というものが残っているのは、田舎であればこそ、というものを想う。子供が舞い、太鼓を叩き、男手が灯籠を担いで舞い、女手がそれを助け、応援する。各集落から集まってくる家々による祭りという事では、 さほどに例は残っていないのではなかろうか。表面上の、楽しければ好い”神を祀らない祭り”に対し、”意義や中身のある、祀りを踏まえた祭”というものを感じた次第である。


〜〜〜蛇足。〜〜〜〜

甲賀の地。古いばかりではなく、甲賀9集落の中に"花風香の湯"(カフカ=鹿深香=甲賀)という公共温泉施設が整備された結果、程近くに新しい分譲地開発を招く事になり、既に分譲が始まっている。定年後の田舎暮らしの方々へ、という所であろうけれど、全く新しい人々で新たな集落を組むという所になる。分譲地側は祭への大規模出費?をして融和を図り、神社には大きな社名入りの灯籠が掲げられていた。

3月に開通した新名神は9集落を横断してしまっている。既に甲賀市内には”希望が丘地区”という、市が主導した大規模分譲地があり、10数年以上の長年を賭け、京都や大阪から(ナゼ?)移住してくる人々によって大きな大規模分譲地区が完成。そして現在も拡大中である。自らの手で自治会を組んでいて、市役所への要求は都会流に強く、旧来の地元とも確執があると聞く。小学校や病院などの施設も独自に抱え込む形の分譲地。買い物先も別。旧来集落との交流は少なく、旧来集落の高齢化を尻目に、増え続ける自治人口は大層な規模へとなりつつある。

交通や大規模施設で暮らしが変わる。施策で人口が増える。税収が増える。そうして更に施策が進む。行政が巧くいったとして、その2面性をどう感じるか。と云って、放って置いても高齢化は進み、若い人口は流出するばかりで戻って来ない。観光化して白川郷の様になり下がってしまっても又、悲しい。その多くは、地元の願う思惑とは異なり、その遺産や伝統といったものが活かされる最善の所へ到達しない。都会に本社を持つ不動産会社や観光企業の、利益根底、至上主義にも原因があるだろう。お役所さんの人口施策が巧く廻されない。利益側面だけが、企業に巧く利用されているという感を受ける。役所とて、そこまで有能な立ち回りが出来ていない感触。

さてさて、ではどうしたら巧くいくものなのだろうか、と、ついつい、想ってしまう。 これを時代の流れを切り捨てるのは簡単な話であるのだが。

〜〜〜〜〜〜〜〜ちょっと愚痴まで、以上。

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  1. 2008/07/25(金) 09:27:13|
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田村神社 厄除大祭
2月19日、甲賀市は土山町、田村神社。坂上田村麻呂を祭る神社として全国各地にある神社。滋賀県の田村神社と云えば土山町のもの。国道1号線は鈴鹿峠の入り口にある、平安時代創建の神社です。何度か記事に出てきているので、覚えている方もおられましょうか。

毎年、2/17-2/19の3日間、厄除大祭なる田村祭りが行われるので、ちょっと、出かけて来ました。

tamura.jpg歴史としては812年に勅命で行われた、疫病祓いの大祈祷に始まるという祭り。本殿の矢。鬼退治の話から来る、厄除けの象徴でしょうか。

厄落としには、福豆を境内の川に流してお祈りするというもの。3日間の祭りで、計10万人以上の参拝客が訪れるという祭り。勿論、県外からも多くの方が訪れるもの。露店も、いつもなら100を越える数が出るらしい。

tamura2.jpgただ、今年は3日間とも雪。平日という事もあってか、比較的静かなお祭り。午前中晴れていたのだが、道々も雪が残っている路面状態。

さて、どうにも運勢のよろしくない小生。今年も無事に過ごせると有難いです。



以上、久しぶりの滋賀観光情報まで。

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  1. 2008/02/21(木) 09:25:40|
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織部・梅村晴峰氏

瀬戸赤津は弄月窯、梅村晴峰氏が亡くなられた様で、御冥福をお祈り申し上げます。 交通事故だそうです。

81歳、織部の職人を代表する方で、日本伝統工芸士会の会長さんでもあります。(”伝統工芸士”:特定の技術を持ち、特定の技法に従って工芸品を作る職人を認定・支援する制度。)実際、非常に良質な織部を作ってきておられ、伝統的な手法を守ってこられた弄月窯。今は実質、ご子息たる梅村鉱則氏が窯主でありましょうか。私も瀬戸に居たので、赤津は何度も尋ねたもの。食器などで赤津織部を見るなら、大体まずはこちら弄月窯(晴峰窯?)、もしくはもう一軒の窯元と決めている。
実際の晴峰氏に会った事は無いけれど、窯元へ行くと無造作に晴峰氏の手になる食器も置かれていたのが記憶にある。現当主たる梅村鉱則氏は、既に劣らぬ品物を作られていて、織部の伝統という面の心配は無い。けれど、陶器が職人によって担われていた時代の方。今は数少ない、職人の方が亡くなられたという事。残念です。

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  1. 2008/01/10(木) 08:17:01|
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